家出して不良に絡まれてる所を関西弁の美人なお姉さんに拾われたww【エッチ体験】

もう3年前の話なんだがな。

家出した理由はそれなりに家庭の事情だった。

両親不仲で毎日喧嘩してて嫌になって家飛び出した。

15歳だった。

親の財布から抜いた一万円で全く知らない街に行った。

自分の財布ぐらいしか持ってなかった。

携帯は電話鳴ると鬱陶しいから置いてきた。

夜の22時過ぎに電車降りた。

それなりに都会だった。

とりあえずどうしようと駅前の広場にあるベンチに座って考えてた。

家出した高揚感が次第に収まっていった。

だんだん都会が恐く思えてくる。

まあガキだったし。

歳上の男や女が凄く恐く思えた。

だいそれた事をしてしまったんだと思って悲しくなった。

半泣きだった。

俯いてると声をかけられた。

「何しとん?」

顔を上げるとニヤニヤと笑う3人がいた。

歳上の男と男と女だった。

凄く不快な笑みだった。

玩具を見つけた、みたいな。

逃げ出したくて仕方ないのに体が動かない。

蛇に睨まれたカエルみたいな?

「なぁ何しとん?」

目をまた伏せて震えた。

今から殺されるんだぐらいの勢いで恐かった。

「大丈夫やって、何も恐い事せんから」

悪役の台詞だと思った。

けど今にして考えれば悪役じゃなくてもいいそうな台詞だ。

とにかく当時の俺には恐怖に拍車がかかった。

また震えた。

ごめんなさい、と呟いた。

「つまんね」

開放されると思った。

「お金ある?」

すぐにこれがカツアゲだとわかった。

産まれて初めての経験だ。

恐い恐い恐いって。

あの時の俺はとにかく臆病だった。

財布には親から抜いた一万円(電車代でちょっと減ってる)と、自分のお小遣い数千円があった。

けどこれを失くしたらもうどうしようもなくなる。

金がなくても警察に行けば帰れるとか、当時の俺は思いつかなかった。

だからそのままホームレスになって死ぬんだと思った。

ないです、と答えた。

「嘘はあかんて。な?財布出せや」

駅前の広場は他にもたくさん人がいたけど誰も助けてくれる人はいなかった。

ドラマじゃよく聞く光景だ。

誰も助けてくれない。

でもそれは本当なんだな、と思った。

「なあ?」

男が俺の頭を鷲掴みにする。

言っておくがこの3人はただの不良だ。

けどまあ、この3人のお陰で俺はお姉さんに拾ってもらえた。

「何しとん?」

それが初めて聞いたお姉さんの声だった。

と言っても、俺は向こうの仲間が増えたと思ってまたビクついた。

けど3人の対応は違った。

「何やねんお前」

「いやいや、自分ら何しとん?そんなガキ相手にして楽しいん?」

「黙っとれや。痛い目見たなかったらどっか行かんかい」

「流石にガキ相手に遊んどるのは見過ごせんわ。ださ」

「あ?」

まあ、会話はおおよそだから。

でもこんな感じだったと思う。

恐くてってどんだけ言うんだって話だけどやっぱり恐くて上が向けず、お姉さんがどんな人かもわからなかった。

「調子乗っとるな、しばいたろ」

3人組の女の声だ。

他の2人も賛同したのか視線はそっちに向いた気がした。

少なくとも俺の頭を掴んだ手は離された。

「ちょっとそこの裏路地来いや」

とか、そんな風な事を言おうとしてたんだと思う。

けど、それは途中で終わった。

「うそやん」

妙に驚いてた気がする。

声色だけでそう思ったんだけど

「シャレにならんわ。ほな」

関西弁の人ってほんとにほなって言うんだ、とか調子の外れた事を思った。

それから暫くして俺の肩に手が置かれた。

ビクッと震える。

たっぷりの沈黙の後

「何しとん?」

さっきまでの3人組みたいな声じゃなくて、ちょっと優しい雰囲気があった。

恐る恐る顔を上げると、綺麗なお姉さんがそこにいた。

髪は長くて真っ赤だった。

化粧もしてて、大人のお姉さんだと思ったけど、今にして考えてみればあれは多分、V系だったんだろう。

何にせよ綺麗だった。

同級生の女子なんてちっさく見えるぐらい綺麗だった。

「ありがとうございます」

と、つっかえながらも何とか言えた。

「んなもんええけど、自分アホやろ?ガキがこんな時間彷徨いとったらアホに絡まれんで」

家出したと言ったら怒られると思って下を向いた。

お姉さんは大きな溜息を吐いた。

「めんど、訳ありかいや」

やけに言葉が汚いお姉さんだと思った。

■お姉さんスペック。

・身長170越(自称)

・外だと厚底履いてるから175は越えてる。

・スレンダー

・Dカップ

・赤髪ロング

・耳にピアスごじゃらら

・関西人っぽい

・年齢不明(見た目18~21)

綺麗だと思う。

暫く沈黙が続いた。

というかお姉さんタバコ吸ってるみたいだった。

タバコの匂いがやたら甘かった。

「ああ……腹減った」

お姉さんが言う。

言われてみれば俺も腹が減っていた。

家出してかれこれ5時間、電車の中でポッキー食べたくらいだった。

「ファミレス行こか」

「?」

「ファミレス。ほら、行くで」

近くのファミレスに行く。

着いて適当に注文する。

お姉さんは凄く目立つ。

赤髪、ロング、黒服、ピアス。

綺麗だし、目立つ。

「自分なんも喋らんな。病気なん?」

「ち、違います」

「ああ、あれ?恐い?そやな、よく言われるんよ、恐いって」

「い、いや」

何て言おうとして否定したのかは知らんが、まあ誰でもそう反応するだろ?

俺はハンバーグ。

お姉さんは野菜盛り合わせ。

「んで、何で家出したん?」

驚き過ぎてむせた。

何で分かるんだこの人は、超能力者か。

とか考えたかは知らんが驚いた。

でも今にして考えれば解る事かもしれん。

夜の22時過ぎに家に帰らない子供。

思いつくのは塾帰りで家に帰りたくないか。

夜遊びするガキか。

家出か。

なのにその時の俺は塾に行くような鞄持ってなかったし、遊んでそうなガキに見えなかったろうから、家出。

カマかけてきたんだろう。

でも当時の俺はただただ、大人のお姉さんすげーって思うだけだった。

「家が……色々」

「ふうん、そっか」

「まあその歳やと色々あるわな」

「で、どないするん?いつ帰るん?」

「……帰りたくないです」

「そりゃ無理やろ。仕事もないし、ってか仕事出来る歳なん?」

「15です」

「ギリやな。家もないし金もないやろ?」

「……」

それでも帰りたくなかった。

俺にとってあの当時の家はかなり地獄だった。

まあ、もっと酷い家庭はあると今なら分かるけど。

「1週間もしたら帰りや」

「……はい」

「ほんじゃ、飯食ったら行こか」

「?」

「うち、一部屋空いとるから」

こんな経緯で俺はお姉さんに拾われた。

お姉さんの家は都会の駅から4つ。

閑散とした住宅街だった。

見た目とは裏腹な場所に住んでるなと思ったけど、住んでるのは高層マンションの最上階だった。

お金持ちなんだと思った。

「片付けてないけどまあ歩けるから」

「お邪魔します」

玄関入ると左手に一部屋。

右手にトイレ、浴室。

奥にリビング。

リビングの隣に一部屋。

「ここ、物置みたいなもんやから使って」

俺は玄関入って左手の部屋に案内されたけど、ほんとに物置だった。

「衝動買いしてまうんよね、はは」

お姉さんが照れくさそうに笑う。

知れば知るほど見た目とのギャップに困惑した。

でもそのギャップに惹かれた。

「とりあえず風呂でも入ってきたら?」

「はい」

初めて女の人の部屋に泊まるわけだけど、だからどうだって緊張感はなかった。

ガキだったから。

そりゃエロ本も読んだ事あったけど、そんな展開になるわけないって思ってたし。

シャワーを浴びて体を拭く。

「洗濯機の上にパジャマと下着出しとるから」

見るとそれは両方とも男物だった。

何で男物があるんだろうと考える。

以前同棲してたから?

ありうる。

だから一部屋余ってるんだと思った。

こんな綺麗なお姉さんだ、彼氏がいない方がおかしい。

下着とパジャマを着てリビングに行く

「サイズちょうどええみたいやな、よかったよかった」

「やっぱうちとおんなじくらいやねんな」

「……?」

「それ両方うちのやねん。男もんの方が楽でな」

途端に俺は恥ずかしくなった。

いつもお姉さんが着ているものを着てるのだ。

下着も。

不覚にもおっきした。

いや不覚も糞もないか。

ガキだし。

でもそれはバレないようになんとか頑張った。

中腰で。

「ん?んん?なーんや、お姉さんの色気に当てられてもたん?」

「ははっ、若いなあ」

速攻でバレた。

恥ずかしさが一気にヒートする。

「ええよ気にせんで、なんし男の子やねんから。ほら、そこ座り。コーヒー……は飲めんか」

「飲めます」

「おお、君飲む口か」

嘘だ、コーヒーなんて飲めない。

苦い。

でも子供扱いされたくなかった。

お姉さんに一番気になっていた事を聞く。

「どうして、その、泊めてくれるんですか?」

「そりゃもちろん」

なんだそんな事かと言わんばかりに、お姉さんは興味がなさそうに携帯に視線を戻して、

「暇潰し」

「暇潰し、ですか」

「うん」

「そうですか」

「何やと思ったん?」

「……?」

「お姉さんが君に惚れたとでも思った?」

「いえ」

「そこは嘘でも頷いたらいいボケになんねんけど、って、あ、君こっちの子ちゃうんよな」

「はい」

「ほんじゃせっかくやねんから関西のボケとツッコミを勉強して帰りや」

「はぁ…」

「そしたら家の事も大概どうでも良くなるわ」

それは嘘だと流石に思った。

コーヒー。

目の前にブラックな飲料が差し出される。

「砂糖は?」

首を横に振った。

湯気だつコップを持つ。

覚悟を決めて口につける。

うげえ。

「はっはっは!梅干食っとうみたいなっとうやん!」

お姉さん爆笑。

俺は俯く。

「無理せんでええて。ミルクと砂糖持って来たるから」

「うちも自分ぐらいん時コーヒーなんて飲めんかったし」

その言葉で救われた気がする。

お姉さんも子供の時があったんだな、なんて。

当たり前なんだけど。

「あの」

「ん?」

お姉さんは頬杖をついて携帯をいじっていた。

話しかけると綺麗な目を俺に向ける。

まっすぐに向ける。

心が囚われる。

「どないしたん?」

「あ、えと」

俺自身口下手な方だし、お姉さんは自分の世界作ってるような人だし、特に会話は続かなかった。

お姉さんの部屋から流れる音楽。

フィーリング音楽(?)が心地よくて、時間が過ぎるのを苦もなく感じられた。

「そろそろ寝るわ」

「はい」

「明日はうち夜から仕事やから」

「はい」

「夜からの仕事、ついて来れるように調節してな」

「……はい?」

「やから仕事やって。自分、もしかしてタダで泊めてもらえるおもたん?」

「いや、そんな事は、ってかその僕、大丈夫なんですか?」

「平気平気。うちの店やから」

お姉さんは自分の店も持っていた。

先に言っておくとそれはBARなわけだけど、やっぱりお姉さんかっけーってなった。

まさかあんな格好させられるとは思わなかったけど。

夜から仕事で起きるのが夕方だったから、俺は結局朝まで起きてた。

それ事態は物置にある本棚に並べられた本を読んでれば問題なかった。

夕方に起きる。

リビングに行くと机の上に弁当があった。

メモに”食べるように”と書かれている。

そして17時に起こすようにと書かれている。

お姉さんは寝ていた。

まだ16時過ぎだったので先に弁当を食べた。

食べ終わってお姉さんの部屋の扉を開ける。

やけに良い匂いがした。

凄く緊張した。

手に汗が滲む

「おねーさーん」

扉から声をかけるもお姉さんは起きない。

意を決して中に入る。

ベッドの上でスヤスヤと寝息を立てるお姉さんがいた。

「お姉さん、起きてください」

お姉さんは起きない。

薄暗い部屋で目を細めてお姉さんの寝顔を覗く。

起きてる時に比べればブサイクだった。

化粧をしてなくてブサイクとかじゃなくて、枕で顔が潰れててブサイクだった。

でもどこか愛嬌があって…言うなればぶちゃいくだった。

間近で見てると胸が高鳴った。

今なら何をしてもいいんじゃないか、なんて思い始める。

そんなわけないのに。

そんなわけがないのに手が伸びる。

ゆっくり。

静かに。

鼓動がどんどん大きくなる。

あわや心臓が口から飛び出しそうになる。

やめておけ、と誰かが言うが
やっちまえ、と誰かが言う。

俺はお姉さんの頭に手を置いた。

見た目より痛んでない髪に手を通す。

撫でる。

「ふにゅ」

それは形容しがたい寝声だった。

ってか多分これは美化されててふにゅなんだろうけど、なんだろう。

文字にできない可愛らしい言葉ってあるだろ?

お姉さんはそんな声を出した。

優しく、愛でるように撫でた。

“お姉さん、可愛いな”とか思いながら撫でた。

だから気づかなかった。

お姉さん、もうとっくに起きていた。

「何してんの?」

怒っている風ではなく、優しい寝起きのボヤけた声色だった。

「す、すみませんっ」

逃げ出そうとした。

「ええよ」

「撫でててええよ。気持ちいいから」

了解を得たので再び座り込んでお姉さんの頭を撫でる。

「うん、君撫でるの上手いな」

「今日はうちが寝る時撫でててもらおかな」

「はい」

15分くらいか

お姉さんの頭を撫で続けた。

お姉さんは心地よさそうにしていた。

俺も何だかとても心地よかった。

「さて、支度しよか」

それの終わりがきたのはやっぱり少しだけ残念だった。

「……何してるんですか?」

「ちょ、動かんといて」

「いやほんと、何してるんですか?」

「やから動かんといて」

「……はい」

俺は化粧をされていた。

「んー、まあこんなもんか」

「何で化粧されたんでしょう」

「化粧するとな、年齢が分からんくなるんよ」

「ほら、それに君うっすい顔してるし。めっちゃ化粧映えするわー」

「はあ」

「んで、そやなーふふふーん」

「楽しそうですね」

「あんまないからなーこんな機会」

「あ、これでええな」

「……冗談ですよね」

「冗談なわけないやん。その顔で男もんの服着る気?」

「その顔ってか俺は男です」

「どこがぁ、鏡見てみ?」

そこにはとても可愛らしい女の子がいました。

なんて流石に言いすぎだが、確かに女の子がいた。

化粧怖ぇぇ。

「君若いし、女装すんなら今のうちやって」

「……」

俺は色々と諦めた。

可愛らしい化粧をされて
可愛らしいスカート穿かされて
可愛らしい服を着せられて
タイツも穿かされて
俺何やってんだろう。

もちろんヅラも被されて。

お姉さんの店はあの都会の駅だ。

電車にも乗った。

派手な2人組だった。

「お姉さん、流石にこれは…」

「喋らんかったらバレんから大丈夫やって」

俺は喋れなくなった。

BARに着く。

普通のBARだった。

普通の、と言っても何が普通か分からんが、イメージ通りのBARだった。

要はちょっと暗くてお洒落。

小さな店だった。

カウンターが七席にテーブルが1席。

「何したらいいですか?」

「とりあえずトイレ掃除から。あ、上着は脱いでな」

ってなわけで俺は店の掃除を始めた。

トイレ掃除、
床の掃き掃除、
テーブル拭き掃除、
グラス磨き。

「お客さんが来たらこれ2つずつ乗っけて出すんよ」

と言われたのは、チョコとかのお菓子

「あとはそやな。これが~」

冷蔵庫の中のメニューを3つ教えてもらう。(お皿に盛り付けて出すだけ)

「んでお客さんが帰ったらグラス回収やらしてテーブル拭いてな」

「は、はい」

「今日はそんな客多くないから緊張せずに慌てずに、やで」

「頑張ります」

「まぁ自分の1番の役目はそんなんとちゃうけど」

お姉さんが悪い笑みを浮かべた気がした。

その意味は後に知る事となる。

開店から30分、2人組の女性が来る。

「おねーさんこんちゃーって何この娘!ちょー可愛いやん!」

「おねーさんどこで誘拐してきたん!?」

「誘拐なんかせんでもホイホイついてきまうんよね」

「あかんで、あのお姉さんについていったら食われてまうでー」

「いや、あの、そんな……これ、どうぞ」

と、言われてた通りお菓子を出す。

女性2人は目を丸くしていた。

「……男の子やん!うわぁうわぁうわぁぁぁぁっ!」

2人の女性のテンションが上がる。

その後は落ち着いた女性客とお姉さんやらが話して、その日は計7組のお客さんが来た。

入れ替わりがあったから満員にはならなかったけど。

「はい、お疲れ」

お姉さんがジュースを出してくれる。

何だかんだで疲れた。

主に精神的に。

「いやー大盛況やったね、君」

「……はぁ」

俺はようするにマスコットキャラクター代わりだった。

来る客来る客珍しいものを見る風に。

てか本当に珍しいんだろうけど、わいのわいのと騒ぐ

「あの」

「ん?」

「真っ青な髪の男性客の人、”今度ホテル行こう”とか言ってましたけど、冗談ですよね」

「ああ、あれな。ほんまにホテル付いてってくれたらラッキーってなぐらいちゃう?」

世間は広い。

俺は色んな意味でそう思った。

閉店作業をして家に帰る。

もう朝だ。

家に着くなりお姉さんはお風呂に直行した。

「一緒に入るか?」

とか言われたけど盛大に断った。

恥ずかしくて無理。

お風呂から出てきたお姉さんは凄くラフだった。

どっからどう見てもノーブラで、薄いパジャマを着ていた。

前のボタンを途中までしか締めてなくて、胸元が思いっきり露出している。

「熱いわー」

思いっきり乳首がががががが…目を逸した。

「ああ、そや、化粧落としたるわなー」

この間、服もどうすればいいのか分からないので、俺はずっと女の子である。

化粧を落とすためにお姉さんは凄く近くに寄ってきた。

勘弁してください。

「玉の肌が傷んでまうからなー」

優しく化粧を落とすお姉さん。

乳首が見せそうで見えない角度。

胸の横っかわはずっと見えてて、俺はそれに釘付けだった。

息子も釘付けだった。

「よし、顔洗ってき。そのまま風呂入ってき」

「はい」

急いで俺は浴室に直行した。

もう性欲が限界だ。

やばい、本当にやばい

そりゃしたさ。

うん、そりゃするさ。

だってガキだもん。猿だもん。

そんなわけですっきりした俺は風呂から出て、

またお姉さん下着パジャマに身を包む。

コンビニ弁当を食べて、

またコーヒーを頼んだ。

「飲めんやろ?」

「飲めます」

「はいはい」

出されたコーヒーにやっぱり梅干の顔をした。

「はははっ、懲りんなあ」

暫く時間が流れて、

「はあ、そろそろ寝よか」

「おやすみなさい」

「何言うとん。一緒に寝るんやろ?」

目が点になった。

何を言ってるんだろうと思った。

そんな約束はしていない。

「何驚いとん。髪撫でてくれるって言うたやん」

あれってそういう意味だったのか。

「丹精込めて撫でてやー」

丹精込めて撫でるってなんだろう。

「ほら、寝るで。明日も仕事やねんし」

小さく頷く。

お姉さんの部屋に入る。

あの落ち着くBGMが流れてた。

「奥はウチやから」

「はあ」

ベッドに誘われて入り込む。

お姉さんの匂いがした。

もうそれだけで眠れそうだった。

「はい」

「?」

「ボーッとしとらんで、ほら」

「あ、はい」

お姉さんの髪を撫でる。

俺よりもずっと身長の高いお姉さんの髪。

綺麗な髪。

赤い髪。

撫でる度に良い匂いがする。

「なあ」

「はい」

「彼女おるん?」

「いや、いないです」

「の割に髪撫でるの上手いな」

「多分、犬飼ってたから」

「犬?犬とおんなじか」

「すみません」

「それも悪くないかなあ」

「はぁ」

「だって撫でてくれるんやろ?」

別にお姉さんだったら犬でも猫でもワニでも蛇でも撫でる。

「なら犬も悪ないな」

「お姉さんは」

「ん?」

「お姉さんは、その、彼氏、とか」

「おらんよ。おったら流石に連れ込まんわ」

「ですよね、はは」

嬉しかった。

「でも、好きな人はおるかな」

言葉が詰まる。

息が苦しくなった。

そのお陰で、

「そうですか」

と噛まずに言えた。

なんでだろう、凄く夢見た光景なのに、男の夢って具合なのに。

なぜだか辛かった。

きっとお姉さんに好きな人がいると聞いたからだ。

理由は分かってた。

胸は苦しい。

なのに心地いい。

お姉さんを独り占めしている気がした。

お姉さんの好きな人にだってこんな事はできないだろうと思った。

けど俺はお姉さんの好きな人には成り代われない

結局、お姉さんはその内に眠っていた。

泣きそうだったけど、俺も何とか眠る事ができた。

起きると横にお姉さんがいた。

頭を撫でて、起きてくださいと言う。

お姉さんは寝返りをうって抱きついてくる。

心臓が一気に跳ね上がる。

もうずっとそのままでいたい。

でもお姉さんはその内に目を覚ました。

抱きついている事に気づくと、より深く顔を埋めた。

「ごめんな、ありがとう」

お姉さんの言葉の意味がわからなかったけど、とりあえずお姉さんが喜んでくれるならと、俺はお姉さんの頭を撫でた。

店について開店作業。

とりたてて難しい事があるわけじゃないので忘れてはいない。

その日も疎らにお客さんが入っていた。

何組目のお客だったか、中盤ぐらいでその人はきた。

「よぉ」

やけにイカつい顔の人だった。

ってかヤクザだと思った。

「何やねん」

少なくともお姉さんはその人を嫌っているようだった。

「この前の借り、返してもらいに来た」

「自分が勝手にやったんやろ」

「でも助かったろ?」

席に座ったのでいらっしゃいませと通しを出す。

「おぉ、この前のガキンチョか?随分変わったなぁ」

「?」

「何だ覚えてねぇのか。助けてやったろ?」

何を言ってるのかさっぱり分からなかったのでお姉さんを見やる。

「不良に絡まれとった時、こいつが追い払ってん」

なるほど、それであの3人は逃げたのか。

そりゃこんな顔に睨まれたら逃げたくもなる。

「ありがとうございました」

「気にすんな。お陰でこいつに良い事してもらえるからな」

「誰がするか」

「本気だ」

ガキでも解る三段論法

俺を助けるお姉さんを助ける強面。

それをネタにお姉さんを脅迫。

原因は俺。

「あの」

「ん?どうした、坊主」

「……困ります」

「……あ?」

「そういうの、困ります」

「おいガキ」

強面が俺の胸ぐらを掴んで引っ張り上げる。

何でこんな事言ってるんだろう俺はと後悔した。

「おいオッサン、その手離さんとキレるで?」

お姉さんがドスの低い声で強面に言う。

でもそれもこれも嫌だった。

俺が子供だからこうなったんだ。

「あの」

強面がこっちを向く。

それに合わせて思いっきり手をぶつけてやった。

平手で。

多分、グーで殴る事が恐かった。

そういう経験がなかったから。

だから平手で殴った。

強面は鼻血を出した。

「ガキ……調子に乗りすぎだなぁ?」

強面の恫喝に身が震えた。

殴るなんて事はついやってしまった事に近くて、それ以上の何かなんて無理だった。

外に連れ出された俺は5-6発ブン殴られた。

こんな痛い事があるんだと知った。

もう人を殴るのはよそうとか考えてた。

お姉さんが後ろから強面を止める。

強面がお姉さんを振り払うと、壁にぶつかった。

お姉さんが痛そうな声をだした。

何を考えたわけでもなく強面に突撃する。

何もできないけど許せなかった。

振り払われて、また殴られて

「気分悪い、2度と来るか」

捨て台詞を吐いて、強面は帰った。

お姉さんが中の客を帰して、意識の曖昧な俺を看病してくれた。

どう看病してくれたかは覚えてないけど、お姉さんは泣いていたような気がする。

「ごめんな、ありがとう」

と言っていた気がする。

でも、俺にはやっぱり意味が分からなかった。

殴られたからか、分からなかった。

お姉さんが泣いているのは見たくなかったから、泣かないで、と手を伸ばした。

お姉さんの頭を優しく撫でた。

気付くとお姉さんの部屋にいた。

いつの間にか気を失った俺はお姉さんに運ばれたらしい。

寝起きだからかボーッとする。

でもおでこがひんやりと気持ちいい。

「おはよ」

お姉さんはベッドの横にある勉強机みたいなやつのイスに座ってた。

パソコンを触ってたらしい。

「おはよ、ございます」

起き上がろうとしたけど体が痛くて呻き声が漏れる。

「あかんて、今日はゆっくりしとき」

「でも、仕事」

「何言うとん。そんな面じゃお客さんビビるし、あの鬱陶しい客が2度と来ん言うてんから、ウチとしては充分や。ほんまにありがとう。君はうちの幸運やな」

「役に立てました?」

「充分やって。あの客な、前から鬱陶しかってん。ああやって誘ってきてて。でも多分、ほんまに2度とこんやろ。なんせ、15歳の子供に鼻血出されてもうたからな。メンツが立たんで」

ニヤリとお姉さんは笑う。

「凄いな、自分。恐かったやろ、痛かったやろ」

強かったけど、痛かったけど、それどころじゃなかった。

そんな事どうでもいいぐらいに怒っていた。

「別に」

「かっこつけんなや。でも君、かっこよかったよ」

嬉しいよりも照れくさい。

俺は布団の中に顔を隠す。

「なんか食べられそうなもん持ってくるわ。口ん中切れとるやろうけど、ゼリーなら食えるやろうから」

ゼリーは確かに食べられたけど、口の中は切れてて痛かった。

でもまあ、

「はい、あーん」

「自分で食べますよ」

「ええから」

「いや」

「はよ口開けろや」

「はい」

お姉さんが食べさせてくれたからなんでも食べられた。

お姉さんが食べさせてくれるなら納豆でも食べれそうだった。

納豆嫌い。

「何か欲しいもんある?」

「欲しいもの?」

「漫画でも食べ物でも用意するから。高いもんは勘弁してほしいけどな」

「じゃあ」

俺はこの時も知らなかったけど、殴られすぎると熱が出るらしい。

だから思考がアヤフヤになって、突拍子もない事を言ってしまうようだった。

「お姉さん」

言ってから後悔した。

なんて事を言うんだ俺は、って。

「な、何でもないです」

「うちは奥やからな」

お姉さんがベッドに潜り込んでくる。

一緒に眠った経験もあるわけだけど、その時とは雰囲気が違って、俺は借りてこられた猫のように固まった。

「こんな」

お姉さんの手が頭に触れる。

いつも俺がそうするように、優しく髪を撫で始める。

「こんなボロボロになってもうてな」

「ごめんな」

別にボロボロになるのもボコボコになるのも、お姉さんを守れたならそれでよかった。

お姉さんが喜んでくれてるし、ちょっとでも役に立てたみたいだし。

お姉さんが頭を撫でる。

それはとても心地いい。

「ほんで」

「どないしてほしいん?」

それに答えられるわけもなく、恥ずかしくなって顔を反対側へ背けた。

「なんてな、はは」

「それはちょっと卑怯やな」

お姉さんの手が首の下に移動する。

それこそ犬猫のようにそっと撫でられて、くすぐったくて体が跳ねた。

「こっち向いて」

耳元でそっと囁かれた甘い言葉に脳が痺れた。

視界すらぼうっとしている中でお姉さんの方に振り向くと、唇が唇に触れる。

ファーストキスだ。

とか思う間もなく、お姉さんの舌が口の中に入ってくる。

生暖かい別の生き物が、滑りを立てて侵入する。

動く度にそれは音を発して、俺とお姉さんが繋がっている事を証明した。

舌と舌が絡んで、お姉さんの舌が口の中の全てを這う。

横も、舌の裏も、上も、歯も。

口の切れた痛みも忘れて、ただ侵される事に集中した。

これ以上ない幸福が詰まっているような気がした。

お姉さんの手が俺の右手に触れて、指先ですっとなぞる。

それは手から全身に電流を流して、意識が更に拡散していく。

手を握られる。

俺も握り返す。

お姉さんが手をどこかに連れていく

そこで離される。

合図だと思ったから手を滑らせる。

初めて触る、女性の胸

舌がすっと引いていって、お姉さんが視線を合わせる。

「ええよ?」

小さな吐息に混ざった声で、俺の消し飛んでいたと思われる理性が外れた。

胸。

柔らかな、胸。

手の平いっぱいに感触を確かめるため、ゆっくりと揉んだ。

手の中心部分にお姉さんの突起があって、それは揉むとかイジるとかよりも、舐めたり吸ったりしたい気分が勝る。

でも、揉む。

だって揉むとお姉さんが、声を殺して息を吐く。

「んっ」

それを俺が見つめていると、恥ずかしそうに視線を逸した。

「見んといてや、年下に感じさせられるんなんて恥ずいわ」

胸の内で想いが強まる。

何度も何度も、”お姉さん”って呟いた。

胸の内で、想いが深くなって、俺の方からお姉さんにキスをした。

とても綺麗で、とても格好良いお姉さん。

そのお姉さんが俺にキスをされて小さな声を上げる。

とても愛らしくて、とても可愛いお姉さん。

胸を弄られながらキスをされて、だんだんと体温が上がっている気がした。

でも、どうしたらいいんだろう。

俺はまだ経験がない。

エロ本の知識しかない。

それは基本的に間違っているとみんな言う。

だから下手な事はできない。

突然だった。

突然股間に衝撃が走った。

お姉さんが握ってきたのだ。

生で。

「年下にやられっぱなしは性に合わんわ」

俺が覆い被さっていた体勢をぐるりと回して、お姉さんが俺を覆う

布団が外れてはだけたお姉さんの服。

綺麗な胸が露わになっていた。

「なあ、気持ちいい?」

お姉さんの細長い指が俺のを握って、微かに上下へと動き始めた。

気持ちいいに決まってる。

けど気持ちいいなんて言えるはずがない。

俺はどういう対応をしていたのだろう。

気持ちいいけど恥ずかしくて、その顔を見られるのが嫌で背けてたのかもしれない。

ちらりと横目でお姉さんを見ると、うっすらと笑みを浮かべて、楽しそうに俺を眺めていた。

「なあ」

耳元で囁かれる声。

俺はそれに弱いのか脳がクラクラと泳ぎだす。

「気持ちいいやろ?」

そう問われて、答えられるはずがないのに、つい口を出てしまいそうになった。

お姉さんは変わらず手を動かしていて、でもそこに痛みはなく、ただただ気持ちいい。

「言わんとやめるで?」

その言葉を聞いて凄く胸が苦しくなった。

やめないでほしい。

ずっと続けてほしいくらいだ。

やめないでください。

息も絶え絶えに発する。

「なんか言った?」

お姉さんの手が止まる。

「やめないで、ください!」

ええ子やな、とお姉さんは呟いて、俺の首筋をすっと舐める。

その右手はまた動き始めて、上下だけではなく先端を凝らしてみたり、付け根を押してみたり、さっと指先でなぞってみたり。

性的な快楽以外のものを感じていたような気がした。

「ヌルヌルしたの出とんで」

お姉さんの言葉に耳が犯される事は

「可愛いなあ、君は」

本来なら性行為の補助であるはずなのに

「ここ、こんなんにして、気持ちいいんやろ?」

それが快楽の全てである気がした。

「気持ちいです」

「もっとしてほしい?」

「もっとしてほしいです」

「もっと気持ちよくなりたいん?」

「なりたいです」

「お願いは?」

「お願いします」

「足らんなぁ」

「お願いします!」

「どれをどないにしてほしいん?」

「僕のを、お姉さんの中に、お願いします」

「……なんか言うた?」

「僕のを!お姉さんの中に!お願いします!」

「ええ子やな」

お姉さんの声が遠ざかっていく。

どこに行ってしまうんだろうと不安になって目で追うと、お姉さんは俺のそれを口の中に収める。

“じゅるり”と奇妙な音を立てながら、”ぐじゅぐじゅ”といやらしい音を立てながら

「だ、だめ」

「ん?どないしたん?」

「イキそう、です」

「ええよ」

俺が嫌だった。

現時点で既に人生の幸運を全て使ってしまったような状況だけど、でも、1番の目的がまだだったから

「い、嫌だ」

「ほら、出しや」

お姉さんの涎に塗れたモノを手で上下に動かしつつ先を舌先で舐めながら、お姉さんは俺を嬉しそうに見つめた。

「嫌だ、出ちゃい、ます」

言ってもお姉さんはやめてくれない。

嫌だと言いながらも俺は激しく抵抗しない、できない。

「お願い、お姉さん、やめて」

お姉さんはじいっと俺を眺める。

俺をじいっと観察する。

声を殺して息が漏れた。

下腹部に集まった大量の性欲が、意思と無関係に発射される。

体の中心が割られたような衝撃だった。

1人じゃ味わえない快感だった。

お姉さんは俺の液体から顔を背けずにいた。

快楽の余韻に浸りながらお姉さんを見ると俺の精液でドロドロになっていた。

「いっぱい出たな」

そう言うと、お姉さんは再び性器に口をつけ、舐め取るように、吸い上げるように綺麗にしていった。

それは気持ちよさよりもくすぐったさの方が上だったけど、何よりも心が満たされていった。

「ほな、お風呂入ろか」

「先入っとって。すぐ入るから」

言われて、シャワーを浴びる。

湯船のお湯はまだ半分ぐらいしか溜まっていない。

シャンプーで頭を洗っていると電気が消える。

「入るでー」

速攻で足を閉じてちむぽを隠した。

「さっきあんなんしたんに見られるの恥ずかしいん?」

ケタケタと笑うお姉さん。

「髪洗ったるよ。手どかし」

言われるがままに手をどかし、お姉さんにシャンプーをお願いした。

内心未だにドキドキしっぱなしだったけど、それ以上に俺は後悔していた。

だって、もうできるチャンスはないだろうから。

お姉さんとできるチャンスを俺の逃したのだ。

「流すでー」

人に頭を洗ってもらうのは気持ちいい。

流されて、溜まった湯船に2人で浸かった。

「どやった?」

「何がですか?」

「言わんでも分かるやろ」

「お姉さんってSですよね」

「君はMやろ?」

「みたいですね」

ごぼがぼごぼ。

お湯に隠れたいけどそうもいかない。

「1週間まであと4日やなあ」

「それは……」

“それはお姉さんが決めた事じゃないですか”と繋げたかったけど、俺にそんな事を言う権利はなかった。

何せこの後もずっとここにいたら、それはとても嬉しい事だけど、俺は沢山の事でお姉さんに迷惑をかけるだろうから。

「ま、また次があるやろ」

何の事だろうと首を傾げる。

「ん?いや、したくないならええねんけど」

「え」

「うちは君みたいな可愛い子好きやからな、別にええよ、うん」

「は、はい」

男ってのは現金な奴だ。

男、ってか。

息子、ってか。

次があると教えてもらってすぐにおっきくなりやがる。

「ほんま、若いなあ」

ニヤニヤとお姉さんが笑っている。

恥ずかしくなって俯くけれど、それは同時に嬉しくなって微笑んでしまった事を悟られたくなかったから。

でも、お姉さんには好きな人がいる。

風呂から出て、お姉さんの部屋へ。

俺は家にパソコンが無かったから、お姉さんがパソコンで遊んでいるのに興味深々だった。

「何を見てるんですか?」

「これ?2ch言うてな」

ちなみに2chもお姉さんから知った。

お姉さんと馬鹿なスレを覗いて笑っていた。

お姉さんは話し始めると話上手で、スレのネタに関連した話題をこっちに振ってくる。

それに返すだけで話のやり取りが進む。

そういうのはBARの店長だけあって上手だった。

暫くして眠る事に。

流石に翌日は仕事に行かなければならない。

「僕も行きますよ」

「気持ちだけでええよ。辛いやろ?」

辛いとかそんなんじゃなくてお姉さんと一緒にいたいだけなのに、と思った。

「君はほんま可愛いなあ」

と思ったら口に出てたみたい。

「ええよ、やけど仕事はさせんで。それやと化粧できんし、まだ腫れとるからな」

2人で1つのベッドに寝転がる。

このまま時が止まればいいのに。

このまま日課にしてしまいたい行事。

お姉さんの頭を優しく撫でて、お姉さんが眠るまで隣にいる事。

ウトウトするお姉さんの横で、お姉さんが心地よさそうに震えるのを見てられる事。

「気持ちいいですか?」

「それさっきのお返し?気持ちいいよ、もっとして」

撫でていると心が安らかになる。

何でか、お姉さんよりも優位に立った気がする。

「お姉さんも可愛いですよ」

「君に言われたないわ」

「ほんとに」

「はいはい……ありがと」

本当に堪らなく可愛いから、いっその事撫で回して抱きしめ尽くしてむちゃくちゃにしたくなるけど、お姉さんはそのまま寝入っていくから、俺も暫くして眠った。

店はその日繁盛していた。

それもどうやら俺が原因らしい。

「大丈夫やったん?何か大変やったんやろ?」

そんな調子のお客様がたくさん来た。

聞いてる限りだと、その時そこにいたお客様がmixiかなんかで呟いて、そっから馴染みの客が全員来たらしい。

だから満員で、

「ほんまごめん、後でお礼するから」

「いりませんよ、そんなの」

お姉さんはバツが悪そうにしてたけど、手が足りないっていうんで俺も手伝う事になった。

俺の顔はまだ腫れてて、それを見ると女性客は慰めてくれて、男性客は褒めてくれた。

「あいつも吹っ切れたみたいで良かったなぁ」

気になる会話をしていたのはテーブル席の3人客だった。

「吹っ切れた、ですか?」

お姉さんに渡されたカクテルを置く。

「だって君を選んだんだろ?あいつ」

選んだ?

「ん?付き合っとんちゃん?」

お姉さんが俺と?

……男として見てくれてるかも怪しい。

「吹っ切れた、が気になるんですけど」

「ああ、それは……何でもない」

お客様が視線を落としてはぐらかす。

肩を落として戻ろうとしたら、お姉さんが仁王立ちだった。

「余計な事言いなや」

とても怒っているようだった。

お姉さんは俺の頭にぽんと手を乗せて、

「帰ったら話すわ」

と言ってくれた。

その後も仕事は続いて、でもど事なく仕事に身が入らない。

と言っても、ミスをするような仕事内容でもないからいいけど、お客さんが話しかけてきてもぼうっと返事を忘れてしまうくらい。

家に帰るまで気が気じゃなかった。

お姉さんの話っていうのは十中八九俺が知りたい事だろう。

お姉さんが好きな人の事だろうから。

家に帰って、お風呂にも入らずお姉さんは飲み物を用意する。

もちろん俺はコーヒーを頼んだ。

「飲めんくせに」

「飲めるようになります」

「ええやん、飲めんでも」

「嫌です」

「子供やなあ」

子供扱いされてついむくれてしまう

「はい、どうぞ」

差し出されたコーヒー。

うげぇ。

「それで、話してくれるって言ってた事なんですけど」

「話逸したな」

ははっ、とお姉さんはいつものように快活に笑って口を開く。

「好きな人おるって言うたやん?その人の事やねんけどな。手っ取り早く言うけど、もう死んどんねん、そいつ。何つーか、病んどったからなぁ。死んでもた。ここで一緒に暮らしとった。BARはそいつと一緒に始めてんよ。親友やったし、同時に恋人やった。たったそんだけのありきたりな話や」

「何で死んじゃったんですか?」

「さあな。遺言はあったけど、ほんまかどうか分からんし。まあ、そいつが言うには、恐かったんやて。うちを幸せにできる気がせんって。想像つくんかどうか知らんけど、うちもそいつもろくな家庭で育ってないねんよ。うちは親から虐待受け取ったし、そいつは親に捨てられてたし。16ん時に会って、似たもの同士やからか気が合って。2人で金貯めて家借りて、店も出した。結構上手く行っとってん。あいつは何が恐かったんやろなあ……幸せにしてくれんでも、一緒におってくれるだけでよかったんに。あいつの保険金でこの家は買い取った。なんか、あいつが帰ってきたらって考えるとな。ありえへんのやけど」

「……まだ好きなんですか?」

「どやろな。うち残して勝手に死んだアホやから、まだ好きか言われたらそうでもないかもしれん。やけど忘れられへんねん。あいつの事」

それは15歳の俺には身に余る、とても重たい過去だった。

「まあ、そういう話。大しておもろないから話すのは好きちゃうんやけど……君、うちの事好いとるやろ?」

「あ……はい」

「やから、君には話しとかなって。うちを狙っても良い事ないで、ってな」

「……関係ないですよ、そんな事。俺はお姉さんの事、好きですし。お姉さんがこうしていてくれるなら、俺はそれだけで充分です」

「無理やん、それも。こうして大人になるとな、子供をそんな道に引っ張るんがアカン、って事ぐらい思うんよ。君にはどんなんか知らんけど家族がいるし、何より未来があるからなぁ。うちみたいな女に引っかかっとったらあかんねんって。引っ掛けたんうちやけどさ」

「お姉さんは俺の事嫌いですか?」

「嫌いなわけないやん」

「じゃあ、良いじゃないですか。来年、というか暫くしたら高校生です。高校卒業したらこっちに来ます。それからじゃダメですか?」

「……」

お姉さんが口篭る。

何を考えているんだろう。

お姉さんが考えている事なんて1つも分からない。

俺が子供だったからなのか、お姉さんが特殊だったからなのか。

お姉さんはたっぷりの間を置いて”ええよ”と答えた。

けれどどうしてだろう、不安が拭えない。

ええよ、と言ってくれるならどうしてお姉さんはそんなに、寂しそうだったんですか?

「今日が最期やな」

「最期じゃありません。暫くしたら会いに来ます」

「そやったな。ま、とにかく、今日は遊ぼか!」

「でもお店は?」

「自営業はな、融通聞くねん」

「どこに行きましょうね」

「映画なんてどない?」

「いいですね」

「よし、じゃあ早速!」

「化粧はしませんよ」

「ええやん、あれ可愛いやん」

「俺は男ですから」

「今だけやで?3年後はできんぐらい男らしゅーなっとるかもしれんで?」

「それでいいです」

「ったく、ケチやなあ」

何とか化粧をされずに出かける事となる。

初めてのお姉さんとデート。

映画を見て、ご飯を食べて、ゲームセンター行って、楽しくないわけがなかった。

夜はお姉さんが料理を作ってくれる事になり、帰りがけにスーパーで食材を買い込んだ。

「こう見えて料理には自信あんねん」

「楽しみにしてます」

「ほんまかいや。君どうも感情薄いからなあ。だいたい、いつまで敬語なん?」

「癖なんで」

「律儀な子がいたもんやわ」

慣れた手つきで食材を調理していく。

野菜を切って、肉を切って、下ごしらえして、炒めて、1時間ぐらいで料理が出された。

「どないよ」

「おお……予想外」

「は?何やて?」

「予想通りな出来栄え」

「それはそれでええ気分せんわー」

実際、料理は美味しかった。

というか料理の美味さより何よりも、お姉さんのエプロン姿が1番刺激的でご飯どころじゃなかった。

お姉さんってほんと綺麗だなぁ、と。

「ごちそうさまでした」

「お粗末でしたー」

洗い物を手伝いながらふと思う。

こんな風に生活できるのも、もう暫くはないんだと。

3年。

少なくとも3年は遠いところに居続ける事になる。

たまに会えてもそれだけだろう。

何よりお姉さんは本当に俺を待っていてくれるんだろうか?

不安が顔に出ていたのか、お姉さんが後ろから乗っかかってきた。

「な」

「はい」

「うち、好きな人できてん」

「はあ」

「気のない返事やな。告白されとんねんで?」

「……嬉しいですよ」

「こっち向きや」

「はい」

触れるかどうかの小さなキス

「ほんまに、好きやで」

お姉さんと初めて会った頃のように、俺はまた動けなくなった。

この人はどれだけ俺の知らない事を知っているんだろう

別々にお風呂に入ってゆったりとした時間を過ごす。

何度でも挑戦するがやっぱりコーヒー。

「さぁ、飲めるでしょうか!」

お姉さんはノリノリだ。

ちなみにまだ飲めた事はない。

ごくり、と喉を通す。

あれ?

「これ、飲めます」

「やったやん!」

「と言うかこれ、いつもと苦味が違います」

「うん、それについては謝らなかん」

「?」

「うちよう考えたら濃い目が好きでな。君が飲んどったんめっちゃ濃かってん。やから普通のお店レベルに薄めてみた」

「……はあ」

「ま、まあええやん、飲めたんやし。ほら、最初にきっついのん経験しとくと後が楽やん?な?はは……怒った?」

「別に怒りませんよ。ちょっと、肩透かしな気分です」

「よかった」

時間は過ぎる。

お姉さんといられる、短い夜。

「ほな、寝よか」

聞きたくない言葉は当たり前にやってきた。

お姉さんは奥、俺は手前。

7日間続いたお伽話も今日で終わる。

明日、目が覚めたらお姉さんが仕事に行くついでに俺は帰る。

嫌だ。

帰りたくない。

ずっとここに居たい。

そう考えても意味がない。

言えない気持ち。

言ってもお姉さんが困るだけだ。

撫でる髪は今日も柔らかい。

お姉さんの綺麗な髪は今日もいい匂いがする。

ずっと撫でていたい。

ずっと傍にいたい。

どうして俺は15歳なんだろうなんて、どうしようもない事に苛立った。

お姉さん、お姉さん。

「なあ」

答えられなかった。

今口にしたら、なにかを言葉にしたら、一緒に涙まで出てしまう。

「この前の続き、しよか」

「目、瞑ってや」

言われたままに目を瞑る。

布団が浮いて、冷たい空気が入り込んできた。

ぱさり、と、絹擦れの音が聞こえた。

「ええよ、開けて」

カーテンの隙間から通る傾いた月の光がお姉さんを照らしていた。

それはとても幻想的で、物語の中だけでしか見られない存在に思えた。

肌が白く輝いて、髪が淡く煌めいて。

「綺麗です」

「ありがと」

「うちな、この前みたいなんも好きやけど、今日は普通にしたいかな」

「はい」

「やから、今日は君が頑張ってな」

「はい」

「ははっ、ええ子やな」

キス。

お姉さんが上でこそあれ、重ねるだけの普通のキスをしてお姉さんは横になった。

俺は興奮の中で混乱する事なく、きっとそれはお姉さんのお陰なんだけど、自分からお姉さんにキスをする。

感情をいっぱい込めてキスをする。

好きという気持ちが伝わるように、伝えるようにキスをする。

舌を入れて、お姉さんがしてくれたみたいに舐めあげていく

乱雑にする事なく、ゆっくりと、愛でるように、全ては愛でるために。

たまに、お姉さんが息を漏らす。

たまに、お姉さんが体を震わす。

舌と舌がもつれ合い、唾液がお姉さんと行き交って、1つに溶けていく。

「好きです」

離れて囁くと、意外にもお姉さんは呆気に取られて恥ずかしそうに顔を背けた。

「知っとるわ、アホ」

本当に、俺は心からお姉さんが好きだ。

お姉さんの胸に手を伸ばす。

触れるのは2度目。

それでも喜びは尽きない。

男の喜びが詰まっているようだった。

でも、何よりもお姉さんの胸だからこんなにも嬉しいんだろうと思った。

触れると、それが丁度性感帯に当たったのか、

「んっ」

お姉さんが喘ぐ。

既に乳首は固くなっているように思えた。

その判断がつかない辺り童貞だけど、そんな気のする固さだった。

口を近づけていって、舌先で舐める。

お姉さんがピクッと跳ねた。

嫌がられる事がないと知って、気が軽くなる。

突起を口に含んで小さく吸う。

お姉さんの体が小さく喜ぶ。

口の中で転がすように遊んだ。

どうしてそうしたくなるのか分からなかったけど、すぐにわかった。

「んぅ」

お姉さんが喘ぐ、それはきっと感じてくれているからだ。

俺はお姉さんが喜ぶ事をしたい。

もっと、お姉さんを感じさせたい。

胸を触りながら、そこに意識する。

全く未経験の、そこ。

もっと下にある未知の領域。

触っていいのだろうかと考えて、振り払う。

ここまでしてくれていて、いけないはずがない。

それをお姉さんに聞くのはきっといい事じゃない。

右手をお姉さんの太ももに当てた。

それだけで感じ取ってくれたのか、少しだけ、本当に少しだけど、お姉さんは足を開く。

緊張する。

この上なく緊張する。

色んな意味で爆発しそうだ。

けれど理性で必死に抑えつけた。

欲望のままに暴走したら、お姉さんを喜ばせられない気がした。

けど、お姉さんはそんな俺はお見通しだと言うように、両手で俺の顔を引き寄せて、耳にキスをした後、

「触ってええよ」

細く囁いた。

いっその事一気に結合してしまいたくなったが、それを止めたのは理性というよりも、多分、愛情だった。

太ももからなぞるように手を持っていき、そこに触れる。

それだけでお姉さんが震えて、既に溢れた液に導かれるまま、俺はゆっくりと指を入れていく。

お姉さんの声が次第に膨らんでいく。

声を殺すのも、億劫なほどに。

指を埋めた肉厚のはずなのに、指に埋もれた肉厚と考えてしまうのは、それだけ女性器の中が神秘だからなのか。

どこをどうすればお姉さんが感じてくれるのか分からず、ひとしきり指を動かしてみる。

たまに、だけど。

ちょうどいいところなのか、一際お姉さんが喜び震える場所があった。

それを幾度も試して、それがどこなのか突き止めて、ようやく場所が分かって押し上げる。

お姉さんの腰が浮く。

明らかに違った声色が響く。

気持ちよさのあまり綺麗から遠ざかった声を漏らす。

だけど、俺にはやっぱり綺麗だった。

とてもとても綺麗だった。

綺麗という言葉しか思いつかない事が申し訳なるくらい。

もう1本指を入れて、お姉さんが1番悦ぶところを押し上げる。

救い上げるように、引っ張り出すように。

「だ、めっ」

お姉さんが発した言葉は、あの日俺が発した意味と同じなのだと知って、”ああ、そうだね、お姉さん”と俺は納得した。

これはやめられない。

あの時のお姉さんの気持ちが分かる。

遅れて共感できた事が嬉しかった。

お姉さんはこんな気持ちで俺を攻めていたのだろう。

どこか嗜虐的な、歪んだ気持ちで。

だけど、だけどきっと、今の俺と同じような気持ちだったと信じたい。

もっと、もっと、喜んでほしいと願う心があったのだろうと。

掻き回す指に連鎖してお姉さんが声を出す。

偽りのない性的な声に興奮も高まっていく。

気づけば汗でぐっしょりと湿っていた。

指を動かす度に淫らな音が響き渡る。

自分の行いで快楽に身悶えるお姉さんが愛らしい。

もっと、もっと愛でていたい。

好きという気持ちに際限がないように、ずっとこのままでいたいと思う。

強く、抱きしめて

「もうっ」

荒く、かき乱して、優しく、囁いて、

「好きです」

「んんっ――」

糸切れた人形のようにお姉さんが固まる。

腰を中に浮かせたまま、電気信号のように身体が跳ねた。

くて、と横たわったお姉さんは顔を腕で隠して息を荒くしていた。

「ははっ」

荒げた息の間でお姉さんは

「イカされてもたわ」

少女のように、照れていた。

「お姉さん」

「ん?」

「入れていいですか?」

「え、う、今?今なぁ……」

当時の俺にはお姉さんがなんで躊躇うのか分からなかった。

それも、今、という限定で。

今なら分かるけど

「よし、ええよ、入れて」

何かしらの覚悟を決めたお姉さんに了承を得て、俺はパンツを下ろしてそれを出す。

「ゴムだけはちゃんとしよな」

「もちろんです」

「着けれる?」

「授業で習いました」

冷静に答えてみるものの、渡されたゴムを上手く着けられない。

「ははっ、こういうとこはやっぱ初物やな」

「初物って」

「ええよ、着けたる」

「すみません」

膝立てをして性器を晒す。

恥ずかしさが2乗して襲ってきた。

お姉さんは俺からゴムを取ると

「これも男のこの夢やったっけ?」

と聞いてきた。

何の事だろうと思っていたら、お姉さんはゴムをはめるより前に俺の興奮したそれを口に含んだ。

わざとだろうか、激しく音を立てて、寧ろそれが目的のように吸い尽くす。

このまま続けられたまたイってしまう。

「お姉さん、やめ、て」

「分かっとるよ」

今回は素直に引いてくれたので安心する。

お姉さんはゴムを取り出して何かをしている。

するとまた俺のを口に含んだ。

気持ちよさに震えるがそれ以上に違和感があった。

どうやっているのは不思議だけどお姉さんは器用に口でゴムを着けた。

「ふう、上手くいった」

「どうやるんですか、それ」

「君は知る必要ないやろ、男やねんから」

「そりゃそうなんですが」

「まぁあれやな。男もアホな事覚えとるように、女もアホな事覚えんねん」

「そういうもんですか」

ちょっと雰囲気が外れてしまったかに思えるが、俺は童貞で、何だかんだでしたくて堪らない猿だ。

お姉さんを押し倒す。

「もう我慢できないです」

「そやな、ええよ」

自分のを持ってお姉さんの穴にあてがった。

ここか?

「もうちょい下やな」

ズラすと確かにそれらしき窪みがある。

「うん、そこ」

色んな感情が渦巻く中、俺はゆっくりと腰を落としていった。

どんどんと沈み込んでいく中、入れる具合に反応してお姉さんの息が吐き出される。

ゆっくり、ゆっくり、中はうねっていて奇妙だった。

こんな快楽がこの世にあったんだと素直に感動した。

暖かくて心地よい神秘の世界。

お姉さんの全てが詰まった、1つの秘境。

さっと血の気が引いた。

やばい。

やばい。

やばい。

「うあっ」

冗談だったらやめてほしいけど、何よりも俺が1番冗談じゃないと知っている。

キョトンとしたお姉さん。

恥ずかしくて速攻目を逸した。

お姉さんはそんな俺を見て笑うでもなく、

「しゃーないしゃーない、初めてやねんから」

と言ってくれた。

「したりんやろ?もっかいしよか」

その言葉だけで再び性欲の熱が沸点を目指す。

「あ……そのゴムラストや」

地獄に突き落とされる言葉ってこういう言葉かもしれない。

「ま、えっか。安全日やし。中に出したらあかんけど」

思考が固まった。

「はい、抜いて」

言われるがままに抜くと、お姉さんが体を起こしてゴムを外す。

「……生は恐い?」

「いや、あの、子供……」

「まあできんやろうけど、そやなあ。君って今なんのためにエッチしとるん?」

「それは」

単純に気持ちいいから。

だけど多分、それ以上に、お姉さんと何かを残したいから

「子作りのためちゃうやろ?やから、子供は気にせんでええよ。それにまぁ、できんやろうし」

お姉さんはそれをとても悲しそうに呟いた。

ガキとはいえ、なぜそんなに悲しそうなのかと聞く気にはなれなかった。

嫌な想像しか浮かばないけど

「うちは君と、ちゃんと繋がりたい。やから、しよ?」

「はい」

お姉さんは再び横になって

2度目という事もあり、スムーズにその場所へと持っていき、先ほどとは打って変わって一気に突いた。

根元まで挿入されると様々な感情が浮かび上がる。

喜び、悦び、期待。

そして、不安。

最期の感情を振り払うように、一心不乱で腰を動かした。

突くたびにお姉さんは喘ぐ。

見られまいと顔を背けて。

かなぐり捨てて動き続ける。

お姉さんに全てを受け取って欲しくて。

好きだから、ずっと一緒にいたい。

けれど、お姉さんとずっと一緒にいられない。

お姉さんはいつかまたと言ってくれたけど、お姉さんは本当にそう思ってくれたのだろうか。

だとしても、お姉さんは綺麗だから格好良い男が現れたりするだろう。

そんなの嫌だ。

俺はお姉さんとこうしていたい。

仕事して、遊んで、髪を撫でて…。

突く力が強まるのは、不安を吹き飛ばそうとする度合いだ。

突くだけでなく、沢山キスをした。

これが夢じゃないかと疑いたくない。

これは本当の事だったと、何よりも自分に覚えててほしい

何の壁もなく1つになっている。

お姉さんと1つになっている。

なっていたい。

お姉さん。

性器に溜まる欲望が急速に炙る。

限界が近い。

「イキ、そうです」

「うん、イキな」

「お姉さん」

「ん?」

「好きです」

お姉さんは突かれながらも

「うちもやで」

と微笑んだ。

ドクドクと溢れる熱量が、お姉さんのお腹にぶちまけられて冷えていく。

疲れ果てた俺は倒れこむように横になった。

「気持ちよかった?」

「はい……お姉さんは?」

「気持ちよかったに決まっとるやんか」

「よかった」

安心する。

俺のした事は喜んでもらえた。

お姉さんに頼まれたのでティッシュを取る。

ああ、そうか、こういうとこにも気を付けないと。

お姉さんがティッシュで俺の精液を拭き取った。

「こうせんと布団が汚れてまうからな」

「もう今日はこのまんま寝よ」

お姉さんが裸のまま抱き締めてきて、足も絡めてくる。

それはつまりお姉さんの胸が当たり、太ももにお姉さんの性器が当たり、俺の性器も擦れるという事で、

「おお、もう復活したん」

「いえ、大丈夫です」

「……ええよ、いっぱいしよか」

結局、寝るまでに後3回した。

合計すると5回も数時間で出したって事になるわけだから、若いって凄いな、と思う。

翌日。

昼過ぎに起きた俺はお姉さんに黙って部屋の掃除を始めた。

トイレ、お風呂、玄関、物置、キッチン、リビング。

最期にお姉さんの部屋。

「……何しとん?」

「掃除。お世話になったので」

「生真面目やな、ほんま。こっちおいで」

「はい」

寝転がっているお姉さんの横に行くと、頭を撫でられた。

ええ子やな、といつも口調で。

嬉しかったからお姉さんの頭を撫で返す。

ええこやな、とお姉さんを真似て。

「……関西弁へったくそやな」

「そうですか?」

「何かイントネーションがちゃうわ」

「難しいですね」

「今のまんまでええよ、君は君のまんまでええよ」

「はい」

お姉さんが仕事の支度を始めたら帰るのはもうすぐだ。

家に帰ったら両親は怒るのだろうけど、どうでもいい。

それだけ価値のある人に出会えた。

「行こか」

それには答えられず、ただ引かれた手に連れられて外に出る。

家を出て近くの駅へ。

そこから都会の駅まで僅か10分。

お姉さんはずっと手を繋いでてくれた。

お姉さんの手はとても暖かった。

白状するけど俺は既に泣いていた。

声を殺して、俯いて、泣いている事を悟られずに泣いていた。

きっとお姉さんはお見通しだったろうけど。

都会の駅に着く。

俺の家はここから本当に遠い。

「暫くのお別れやな」

「ありがとうございました」

「今度はいつ来る?」

「夏にでも来ます。速攻バイトして、お金貯めて」

「そっか。ほんじゃ、待っとくわ」

「あの、これ」

「ん?」

「携帯番号です。電話、くださいね」

「うん、電話するわ」

嫌な予感しかしなかった。

今ここでお姉さんの手を離したら、2度と会えなくなるような気がした。

「お姉さん」

「ん?」

「ごめんなさい」

「何謝っと……」

俺よりも身長の高いお姉さんの肩を掴んで引き下げて、無理矢理キスをした。

そこはまだ駅のホームで人目がつく。

長い時間のように思えて、それは一瞬の事だった。

「強引やな」

「ごめんなさい」

「嫌いちゃうけど」

「すみません」

「お返しっ」

今度はお姉さんの方からキスをしてきた。

その時間は本当に長かった。

2分、3分?

お姉さんは白昼堂々と舌を入れてきて、人目も気にせずに没頭した。

俺も何だかだんだんどうでもよくなってきて、人目よりも何よりも、お姉さんの気持ちに応えたくて。

だってお姉さんは俺よりもずっと大人で、お姉さんはとても綺麗な人で、BARの店長とか格好良い職業で、モテないわけがない。

こんな一瞬、奇跡に違いない。

夢でない事がいい証拠だ。

だからきっとお姉さんは俺を忘れる。

俺はいつまでもお姉さんを忘れられないだろうけど。

「大好きです」

「うちもやで」

「また来ますから」

「うん」

「絶対に来ますから」

涙が止まらない。

この約束が嘘になると思ってしまって、ずっと涙が止まらない。

電車が来る。

お姉さんが微笑む。

俺の頭を撫でる。

俺は泣きじゃくったただのガキで、駄々をこねるただのガキだ。

電車が扉を開ける。

中に入る。

「泣くなや、男の子やろ?」

扉を締める合図が響く。

お姉さんが僕を抱き締める。

「ほんまに」

ぎゅうっと強く、抱き締める。

「ほんまに」

車掌の警告が響く。

「大好きやで」

けたたましいサイレンが鳴る。

「ありがとう」

お姉さんが離れる。

ドアが締まりかけた頃合で、お姉さんは快活に微笑んだ。

目尻に込めた涙を無視して、

「バイバイ」

と、別れの言葉を口にした。

家に帰ると鬼の形相をした両親に迎えられた。

がーがー怒っていたけど、なぜだろう。

俺はそれがとても嫌だったのに、ふと思った。

2人も子供なんだろうな、って。

お姉さんがお姉さんだったように、お姉さんだけどお姉さんじゃなかったように、大人だって子供なんだな、って。

「俺さ、2人が喧嘩するのが嫌で家出したんだよ」

そういうと2人は黙ってしまった。

喧嘩の原因ってなんだろう。

考えてみれもどうでもいい。

頭の中でお姉さんが離れない。

お姉さんがいつまでもそこにいる。

お姉さんはそこにいるけど、俺の携帯はいつまでも鳴らなかった。

高校に無事入学して、夏。

バイトをしてお金を貯めて、お姉さんに会いに行く夏。

だけど、相変わらずお姉さんから着信は来なかった。

学校の友達もできた。

好きな人はできなかったけど。

と言うか、お姉さんを知って他に好きになれるとか、無理だろう。

結局、俺はお姉さんに会いに行かなかった。

臆病だったから?

不安だったから?

答えはまぁ、3年後。

高校を卒業してそのまま働くと伝えたら両親は落胆していた。

ちなみに俺の家出がキッカケか、あれ以来2人は不仲が解消したようだ。

少なくとも家で喧嘩はしていない。

しかも勤め先を遠くに選んだから余計だ。

理由を問われたけど、その街が好きだからとしか言えなかった。

就職はまあ、なんとかなった。

高卒なため、良いところとは言えんが選ばなけりゃなんとでもなる。

家も決めて、一人暮らしの段取りをしつつ、3月に入って俺は学校に行くのをやめた。

あとは卒業式以外どうでもいいわけだし。

それよりも何よりも俺にはやる事がある。

家を探す時や就活の時に訪れているわけだが、改めて来てみると不思議な感覚に襲われた。

あの都会の駅の前にある広場はどうにも健在らしい。

そこのベンチでぼうっと座っていると、お姉さんが…なんて事は流石にない。

暫く佇んで、お姉さんを探すべく歩き出す。

と言っても行く先なんて決まっている。

あのBARとマンションしか知らないんだから。

夜の20時過ぎ。

あのBARが開いている時間帯だ。

こうして見ると怪しい雰囲気だな、と思った。

お姉さんに連れられた3年前は気づかなかったが、これは1人で入れんと思った。

ドアを開けるとベルが鳴る。

店の看板とか何もないから不安だったけど、BARはまだやっているらしい。

中に入るとお客さんは1人もいなかった。

でも、1人だけ、その人はいた。

赤く長い髪の、綺麗なお姉さん。

「こんにちは」

「らっしゃーい」

どうやらお姉さんは俺の存在に気がついていないようで、これはこれで面白いと俺は自分を明かさなかった。

まあ、なんだかんだで今ではお姉さんより身長も高いしなぁ。

3年経ってもお姉さんはお姉さんだった。

綺麗ですっとしていてモデルみたいで。

大人の色気が増したと言えばいいのか、しかし18の俺に大人の色気はよく分からん。

「お客さん、初めてだよね?」

「ですね」

「何でこんな見つけづらいとこに」

「友達に聞いたんですよ。真っ赤な髪のマスターがいるBARがあるって」

「ああ、これ。ははっ、もういい年なんやけどねー」

「でもとってもお似合いですよ」

「あざーす。いや、何か照れるわー」

「どうして赤髪なんですか?」

「これ?これな、むっかあああああしの知り合いに褒められてなー」

死んでしまった人の事だろうか

「大切な想い出なんですね」

「いやそんなんどうでもええねんけどな、今となっては」

「?」

「ぷっ」

「どうしました?」

「いや、そんでなー」

「この赤い髪を綺麗ですね、って褒めてくれたガキンチョがおんねん」

「ガキンチョ」

「そうそう。そいつな、うちに惚れとるとか言いよったくせにな、くせにやで?携帯番号ちゃうの教えて帰ってん」

……うそん。

「連絡ください言うた割に連絡通じへんやん?どないせーってのな」

「そ、それはそれは」

冷や汗が沸き立つ。

まじで?

それで連絡こなかったの?

「会ったらほんまどつきまわしたらなあかんなぁ」

迂闊に名乗れなくなった。

「そ、それと赤髪がどういう?」

「ん?やからさ、あのアホンダラが戻ってきた時、うちのトレードマークがなかったら気づかんかもしれんやん?」

「そんな事……」

ありえて嫌だ。

お姉さんの赤髪とピアスは凄い印象強いから。

「ところでお客さん、何飲む?」

「おすすめのカクテルを」

「いや無理やわー」

とお姉さんはドン、っと机が揺れるぐらいの勢いでコップを置いた。

「自分みたいなガキンチョにはこれで充分やろ?」

それはいつか出されたジュースだった。

「……はは」

「ははっとちゃうわドアホ!いつまで待たせんねん!おばはんにする気かおどれぁ!」

「あ……バレてました?」

「バレバレや言うねん!君身長高くなっただけで顔つきほとんど変わってないやんけ!可愛いわボケぇ!」

「可愛いなんて、もうそんな年じゃないですよ」

「そこだけに反応すんなアホ!首傾げる仕草も何も変わってないいうねん……」

唐突にお姉さんは体を背けて顔を隠す。

ああ、お姉さんも変わってないな。

「どんだけうちが待っとったおもてんねん……」

ふるふると震える肩。

あの時もそうだった。

お姉さんは弱味を俺に見せたがらない。

恥ずかしい時も。

哀しい時も。

苦しい時も。

顔を背けてそれを隠す。

椅子を降りてカウンターの中に入っていく。

土台が同じ高さになったため、俺はお姉さんよりも大きくなった。

「ほんま、背高くなったなあ」

「牛乳飲んでますから」

「……君ええボケ言うようになったやん」

「そりゃお姉さんと一緒になるの、夢見てたんで」

「タバコは?」

「身長伸びませんから」

「迷信やろ」

「プライバシー効果ですよ」

「プラシーボ効果やろ」

自分より小さくなったお姉さんをそっと抱き締める。

自分の腕の中に収まるお姉さんは、とても可愛らしくて愛くるしい人だった。

「大好きですよ」

「あっそ」

「つれないですね」

「知るか、3年もほっとったアホ」

「どうしたら許してくれます?」

「そやな」

「とりあえず、うちより身長低くなりや」

「はい」

「うん、ええ位置やな」

引き寄せて、お姉さんはキスをする。

3年ぶりのキスは相も変わらず、優しくて、この上ない喜びが詰まっていた。

「なあ」

「はい?」

「うち、ええ歳やねんけど」

「結婚とか興味あるんですか?」

「君とする結婚だけ興味あるな」

「そうですか。じゃあ、暫くしたらしますか」

「なんでしばらくやねん」

「まだ新入社員ですよ、俺。いやまだなってもないのか」

「就職したん?ここがあんのに」

「それも悪くないんですけど、やりたい事もありまして」

「へえ、なんなん?」

「秘密です」

改めて席についてジュースを飲んだ。

「1つ気になってたんやけど」

「はい」

「なんで夏に来んかったん?」

「……そうですね…。連絡が来なくてムカついてたんで」

「君のせいやろそれは!」

「ですね。でもあの時の俺は本当にそうだったんですよ。恋人ができたのかな、って。だから3年溜めて、まずは社会人になって、もしダメだったら…」

「ダメだったら?」

「ストーカーにでもなろうと思ってましたよ」

「どこまで本気やねん」

「半分。ストーカーは冗談ですけど、仮に彼氏さんがいるなら奪おうとは思ってましたよ」

「本気やな」

「そりゃまあ、お姉さんは僕の人生を変えた人ですから」

「言い過ぎ……でもないんかな。うちの人生を変えたんは、君やしな」

「それは意外ですね」

「君はあの1週間をどう覚えとる?」

「妄想のような1週間ですかね」

「妄想て。雰囲気でんわ。でもうちにしたって、ありえん1週間やった。だってそやろ、家出少年匿って、色々あって、恋して」

「でもそういうの慣れてると思ってました」

「よく言われるけどなあ、そういうの。うちかてただの女やしな」

「……そうですね」

「そこは同意なんやな」

「もう18ですからね。お姉さんが普通にお姉さんに見えますよ」

「なんやそれ。ってか君、いつまでお姉さん呼ぶん?」

「お姉さんって呼ばれるの、好きなんだと思ってましたよ」

「嫌いちゃうけど、今の君に呼ばれるんは違和感しかないわ」

「でも」

「なんやねん」

「名前で呼ぼうにも名前知りませんし」

「……ほんまやな、うちも君の名前知らんわ」

「名前も知らない人を泊めてたんですか、いけませんよ」

「名前も知らんお姉さんに付いてったらあかんやろ、殺されんで」

「ほな」

「はい」

「○○○○です、よろしゅー」

「○○○○○です、よろしくお願いします」

「ははっ、何やねんこの茶番」

「っていうかお姉さん、意外に普通の名前なんですね」

「君は古風な名前やな。しっくりくるわ」

その後もお姉さん、もとい、○○さんとの会話は続いた。

お客さんが何組か来て、ついいらっしゃいませと言ってしまったりもしたけど、俺はお姉さんの家に泊まる事になった。

「コーヒーお願いします」

「飲めるん?ってそや、薄くせなな」

「そのままでいいですよ。あれ以来濃い目のしか飲んでませんし」

「何で修行しとんねん」

「○○と同じ味を覚えたかったから」

「……君、照れずにようそんな事言えるな」

「鍛えましたから」

「それ絶対間違っとるわ」

差し出されたコーヒーに口をつける。

強めの苦味が口の中でふんわりと滲んで、これはこれで嫌いじゃない。

「ほんまや、飲めとる」

「3年も経てば飲めますよ」

「敬語はいつやめるん?」

「唐突ですね。やめませんよ」

「変な感じやな」

「そうですか?これで慣れてしまってて」

「だってもううちら恋人やろ?」

「ああ、はあ、そう、ですね」

「何照れとんねん、やっぱ子供やなぁ」

「いやあの、今のは突然だったので」

3年前と違って会話はスラスラとできた。

3年も会っていなかったからか、話したい事が山のようにあった。

暫くして、変わらないあの言葉。

「ほな、寝よか」

俺の腕に小さな頭を乗せて縮こまるお姉さんは可愛らしい。

優しく撫でると香るあの匂いに急速に3年前を思い出す。

「ずっと会いたかってんで」

「ごめんなさい」

「もうどこにも行かんよな?」

「卒業式には帰らなくちゃならないのと、家を借りてるのでそれを解約するのとありますね」

「うん、ここに居たらええよ」

「家賃は払いますから」

「いらんよ、借家ちゃうし」

「結婚資金にでもしておいてください」

「お、おう」

こうして思えばお姉さんは照れ屋だったのだろう。

3年前の俺はそんな事全く分からなかったけど。

その内にお姉さんはスヤスヤと寝息を立て始める。

俺の腕の中で安らかに眠る。

こんな日々がこれから一生続くのだろうと考えたら、俺は何とも言えない喜びに包まれて、幸福の中で眠りについた。

それは春が訪れる。

桜が咲く前の事。

ってなわけで悪いがエロなしで終わり。

読んでくれてありがとう、お前らお疲れな。


PAGE TOP